スペインの場合





 名前を呼ばれ振り返ると、目の前に真っ白なトマトが突き出される。
色と味以外は本物そっくりやろと言われ頷くが、今は遊んでいる場合じゃない。
家が潰れるんでないかというほどに積もりに積もった雪は、スペイン中を白く染め上げていた。
ホワイトクリスマスにしては気合いが入りすぎだ。




「大丈夫スペイン、全身雪まみれで風邪引いたりしてない?」
「平気やで! こそせっかく来てくれたのに手伝わせて堪忍なぁ」
「気にしないで。それよりも足元気を付けてね」




 雪かきも楽しいもんやわと、屋根の雪をばさばさ下に落としているスペインを見上げる。
さくさくと歩いてるけど、そこはまだ屋根なんだろうか。
雪が積もっただけの不安定な足場ではないかと気が気でない。
クリスマスに国が骨折したとなったら、国民は総じてテンションだだ下がりだろう。




、雪かき終わったら温かいの食べようなぁ」
「そうだね、熱いスープとか飲みたいね」
「でもって暖かいお風呂で一緒にあったまったら楽園やんなぁ」
「1人で入っておいでよ」




 冷たいわぁ。
屋根の上で笑ったスペインの体がスライドした。
うおっと間の抜けた声をスペインが発した時にはもう、彼の体は空中に。
どうしよう、落ちたら怪我しちゃう。
私がしゃしゃり出たからといってどうにかなるものでもないけど、何も考えずに落下地点となるであろう場所で両手を広げた。
スペインのびっくりした顔がみるみる近くなる。
あ、これは私も巻き添え食らって倒れたな。
ぼふっと柔らかな音を立てて倒れこみ、体中が冷気に包まれる。




「もう、急に飛び出してきたら危ないやんか」
「あれ? スペイン平気だった?」
「俺かて修羅場潜って今日まで生きてんねん。こんなんどってことないで」




 スペインはさっさと立ち上がると私を抱き起こした。
私を潰さないように、少しでも雪に触れさせないようにと抱きかかえてくれたらしい。
そのおかげで怪我こそしてないけど、雪を全身から被ったスペインはちょっと寒そうだ。
この時期に風邪なんて引いたら大変だ。
早くお風呂沸かさなくちゃ。
これからどうしようかと考えているとくしゃみが出た。
う、私もちょっと寒いかも。




「俺が滑ってもうた時に雪も落ちてきたみたいやね。雪かき終わって良かったわ。、中入ろ」
「うん・・・」
「2人とも雪被ったんやし、これは2人で一緒にお風呂入らんとなぁ」
「私は後でい「今更恥ずかしがる仲でもあらへんのやし、さ、行くでー」





 あ、スペインの身体って暖かい。
寒いからって理由だけじゃなく、私はスペインにぴったりとくっついた。









お風呂入ってからがクリスマスの本番




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