5.優雅な生活、その実態



 呉郡の四姓に名を連ねる陸家は、そんじょそこらの地方豪族などとは比べ物にならないくらいに裕福である。
幸か不幸か陸遜に屋敷に住まうようになったは凌統からその話を聞き、なるほどそうだろうと納得していた。
特別派手な生活をしているわけではない。
居候の身なのだからそれは当たり前なのだが、一家の主たる陸遜もそこそこ地味な生活を送っている。
お金があるのだろうと思うのは、やたらと広い邸宅に美味しい食事。
こっちではこういう色合いが主流なんですと言われ与えられた衣服の、地味ではあるが紛うことなき質の良さなどからである。
本当は優しい人なのだろうと思う。
おそらく彼は世話好きなのだ、様々な意味で。




「じゃあ不自由な生活してるわけじゃないんだ?」

「はい。・・・・・・ですが」

「何? 何か困ったこと?」

「・・・富豪の方が考えておられることは、奥が深うございます」




 お金があり余っているのか、定期的に野焼きにされる庭を初めて見た時は彼の常識を疑った。
誰にも言ってはいけませんときつく言われているが、これだけ燃やして今まだ誰も気付いていないのが不思議でたまらない。
というか、いつまで自分は彼に炎が好きだと思われているのだろうか。



「まあ、苛められたらすぐに俺に言いなよ? 軍師さんにガツンと言ってやるからさ」

「それは頼もしゅうございます」



 の常識外れの居候生活は、まだ始まったばかりである。




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