8.過去は禁域



 意気揚々と開いたお弁当の中身を見て固まる。
何かの間違いだと思いたい。
あの人たち、擬似親子もしくは家族ではなかったのか。
こんなお弁当作っちゃうような仲だったのか。
信じられない、信じたくない、これを見てしまうと信じざるをえない。
どんなに頑張ったところで、所詮は叶わぬ恋だったというのだろうか。
同居、いや、同棲している2人の間に割り込める自信はさすがになかった。
しかし諦めきれない。
真実を彼女の口から聞いてみたい。
は弁当に手をつけることなく、ただぼんやりとそれを見つめていた。



「あ、それの弁当じゃ・・・・・・。何もって来てんだ

「・・・君のお兄さんとさんって、そんな関係だったの・・・?」

「違う違う。絶対に違うから早まるなよ!?」

「これ見て違うって言われても信じらんないよ! なんでこんな可愛いお弁当あの人なんかに・・・!」



 早朝マルチェロが必死に追いかけてきたのは、これを見られたくなかったからなのだろう。
見られてからかわれたくなかったからに違いない。
お生憎様、マルチェロをからかえるだけの元気は残っていなかった。



「あいつ、さ! 身寄りなくて途方に暮れてたとこを兄貴が拾ったんだよ」

「・・・・・・」

「何がいいのか知らねぇけど妙に兄貴に懐いて、あいつに一生懸命恩返ししようとしてるわけ」

「・・・それで?」

「月に何回か、兄貴の修道院に子ども集めて面倒見る日あるんだけど、その時は可愛い弁当の方が子ども受けいいだろ?」

「・・・・・・」

「あの顔じゃ懐く子どもも懐かねぇし、だから親近感溢れる弁当でだな・・・」



 何その深イイ話。
そんな事情知らずになんてことを。
今日のマルチェロの弁当は何なのだろうか。
味気ない弁当だったら、なんだか申し訳ない。
とりあえず夕方のバイトの時に謝っておこう。
はプリズニャンがハートの中で可愛らしく戯れている弁当にようやく箸をつけた。




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