10.約束も君も全部守るから



 会議の後は無礼講。
誰がいつ決めたのか定かではないが、今回も例外なく始まったフランスを中心とした男だらけの裸祭り宴会に、
私はそっと席を立った。
ここにいてもろくなことはない。
男の裸なんて見ても楽しくもなんともないし(と言ったらフランスに嘆かれた)、
泥酔した連中の酌もしたくない(とぼやけばイギリスが自棄飲みした)。 ここは逃げるが勝ちだ。




「よーし、今度は日本を剥いちゃうぞー!!」

「や、やめて下さいフランスさん!!」




 あら珍しい。今日は日本さんも巻き込まれた。
いつもならこっそり抜けてきてるけど、今日はお疲れだったのかな。
日本さん昔はそれなりに鍛えてはいたけど、身長から何から不利だもんなぁ。
悪い意味で可愛がられなきゃいいけど。



「日本、もう少し身体を鍛えた方が・・・」

「やだよー! 日本はドイツみたいにムキムキにならなくていいの!」




 今日の肴は日本さんの裸といったところかな。
あれ、今日ふんどしだったっけ。違うよね、スーツ着てたんだし。
スーツぐしゃぐしゃになってなきゃいいけど。




「・・・えらい目に遭いましたよ・・・」

「おかえり、日本さん」



 みんな飲み潰れてお開きになったのか、よろよろと日本さんがこっちにやって来た。
ちょっとお酒臭いけど、日本さんが好んで飲んでるお酒の匂いじゃないから人のが移ったんだろう。



「日本さんが剥かれるなんて珍しー」

「今日は皆さんしつこかったんですよ」

「日本さんの裸はレアですもんね」



 乱れたスーツを調えてあげながら、私は日本さんの腕を握った。
細いけど、私たちを守るために戦い続けてきた愛しい体だった。




「・・・私、日本さんの裸見るの苦手なんですよ」

「あれだけ見慣れているのに」

「今はもうないけど、私は覚えてます。どこにどんな傷があったか」

「いつも泣いてましたよね、私の身勝手だったのに」




 何があってもあなただけは守り抜くと言ってたあの頃の日本さんの体は、とても人に見せられるようなものではなかった。
重たすぎる愛を捧げられても受け取り方も返し方もわからなくて、結局泣いてたっけ。



「これからも私はあなただけは守りますからね」

「きゃー情熱的」




 私は酒を飲んでいないにもかからわず火照った日本さんの胸に、そっと頬を寄せた。





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