1.彼女の話題に敏感すぎる



 いい加減にしてくれないか鬼道。
普段から温厚な風丸の怒りの声を聞き、円堂と豪炎寺はくるりと風丸の方へと首を巡らした。
まったくもうお前はほんとにわかりやすい奴だなと怒っている風丸に、円堂が恐る恐る声をかける。



「鬼道が何かしたのか?」

「まあとりあえずあいつらの会話を聞け。そして察しろ」




 風丸がびしりと指差したのは3人組の男子。
わいわいと弁当やらパンやらを囲み昼食をとっているが、風丸が指摘したいのは彼らの会話の中身らしい。
人の話を盗み聞きするのもどうかと思ったが、鬼道のためにも一応耳をそばだてる。




「そーそー! あの元気いっぱいでくるくる変わる表情がいいんだよな! あー癒されるー」

「半田ごときが仲良くしてるってのが許せねぇよな」

「でもさんは豪炎寺の好きな人だろ? あいつには勝てないって。今からサッカーしてみるか?」



 円堂と豪炎寺は鬼道を見つめた。
最初のあたりで何のことだかわかったが、鬼道の許せないポイントがいくつかありそうでそこまでは把握しきれない。
鬼道もやっぱり普通の中学生だなといつものように笑ってやりたいが、放っておくと病気になりそうなので構ってやるしかない。



「まあ色々あるけど豪炎寺、やっぱりのこと好きだったんだ」

「・・・流した噂は付き合ってるということにしたんだが・・・」

「え、あの噂流したのお前!? なんでそういう紛らわしいこと本人がしてんだよ・・・」

「そうだ豪炎寺。はお前だけのものじゃない。勝手に噂を流してを自分だけのものにしようなどいい考えだ俺もやろう」

「ははっ、鬼道また本音出てるぞ」




 一番可哀想なのは本人だろうと風丸はちっとも優しくない豪炎寺と、愛が暴走しがちな鬼道を交互に眺め叱りつけた。
勝手に彼氏持ちにさせられたかと思えば幼なじみの想い人にさせられ、今度は鬼道の彼女にさせられようとしている。
本人の意思とは無関係に状況が悪化して、真実を彼女が知ったら2人とも共倒れしそうだ。




「豪炎寺には俺の気持ちなどわかるまい・・・。横からふらっと現われ奪っていく者の気持ちなど!」

「わからないがとりあえず、俺を目の敵にするな。欲しければ勝手に持っていけといつも言ってるだろう」

「では勝手にさせてもらう。まずはあの噂の消去のために豪炎寺は振られたという新たな噂を広めて・・・」

「円堂、ゴッドハンドで鬼道の口塞いどけ」

「ん」



 厄介な人にしか気に入られないんだなあって。
円堂は鬼道の口を塞ぎつつ、友人の不幸じみた男運を案じるのだった。




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