08.「だめ!」



 なんとなく、途切れたきり沈黙したままの空気に耐えかねて不良宣言をしてみる。
何言ってるの明王くん、グレてもかっこよくならないよと、驚きで目を丸くしてこちらを見つめてくる幼なじみに冗談と笑い返す。
不良は、宣言してなるものではないと思う。
気が付けば足を突っ込んでいて抜け出せなくなっているのが不良の始まりで、少なくとも可愛い幼なじみのことを気にかけている
今はまだ不良の『ふ』の字にも染まっていないと自認している。




「明王くんみたいな私バカが不良になれるわけないのに、なぁに身の丈に合わないこと言ってるの?」

「可愛い喋り方でえげつないこと言ってるな、嬢」

「そう? ほんとのこと言っただけだと思ったんだけど・・・」

「事実だからいいけど、嬢と話してるとほんとに飽きねぇな」





 不良っていったら、まずはピアス開けたり金髪になるのかな。
そうかな、俺はメッシュとか入れて変な髪型にするのが不良の入り口だと思ってたけど。
私、明王くんの今のこげ茶のふわふわ髪型が好きだから下手に冒険しちゃ駄目だからねと念を押し
指切りをせがんでくる不安顔のの額に、不動は自身の額をこつんと合わせると約束と言い切った。




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