09.結局許してしまうのでした



 もう何度目だ。
何度やめてくれと言えばわかってくれるのだ。
にとってはいい思い出なのかもしれないが、こちらにとってそれは少年時代に生み出した気障ったらしいただの黒い歴史だ。
私は今でもあのシチュエーションぜーんぶ覚えてるようとにっこり笑顔で言ってくれるのは嬉しいし可愛らしいが、
嬉しいという感情だけではないのが実情だ。
酒が入るたび蒸し返されると、こちらが酔っていないということもあり非常に対処に困る。
自宅で2人で飲んでいる時はまだいい。
だが、今日のように昔のあれやこれやを知り尽くしている面子との酒宴の席ではいけない。
ジンもウォッカも飲んでいないのに、顔といわず全身の穴という穴から火が吹き出しそうだ。




「わかった、わかったから帰ろう」

「私今もちゃーんと持ってるよー、あれがなかったら今こうなってないもんねーえ」

「それについては否定しないし、まさかあの時はそれが決定弾になるとは思っていなかったが!」

「が?」

「・・・ここから先は他の奴らには聞かせたくないから、続きは家で・・・な?」

「きゃっ、相変わらず恥ずかしがり屋さんなんだから! うんじゃあ帰る、帰ったら続き聞かせてね?」




 というわけで後は頼んだと言い残し、仲良く連れ立って出て行った2人を見送る。
何だあれは、見ているだけで悔しい!
空になったグラスをテーブルに置きぶつくさと文句を連ね始めたかつてのチームメイトの肩に、円堂と風丸は同時に手を置いた。




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