お題・2
5.一緒に、いこう?



 「はいっ!!」


 良く晴れた空の下、礼節を重んじる家庭としてはその筆頭に上げられる、名家の広大な庭で、
当家が誇るご令嬢が威勢の良いかけ声をあげていた。
別に、彼女が格段礼儀正しいわけではない。
ただ、この少女が滅法やたらと強いMSパイロットなだけである。
そんな破天荒な彼女の両手には、身長よりも長い棒が握られている。
これこそ彼女の秘密兵器、棒術の得物である。
アスランは従妹の勇ましい姿に呆気に取られていた。
ちょっと目を放した隙に、本当に訳がわからなくなるほどに強くなってしまった。
あの恐ろしい空気を咲く音を発する棒は、なんなんだ。
どこであんな術を習ったんだ。
アスランは日々進化する従妹に戦々恐々としていた。



「いつからこんなに強くなったのか・・・。
 大体、その棒術とやらはどこで習ったんだ?」

「市民講座よ。
 他の子たちがそこに習い事に行ってたから、私も行ってみたの。
 お父様もお母様もかねてより、習い事を薦めてらしたから。」

「なんて恐ろしい講座なんだ・・・。
 そこの受講者全員が強いのか?」



 アスランの問いに、う〜んと人差し指を軽く唇に当てて考え込む。
確かあそこにいたのはご年配の方ばっかりだった気がする。
うん、そうだった。



「『第2の人生も健康ライフで! 楽しく学べる棒術入門』だったんだけど、
 私以外のみんなお年寄りばっかりで。
 でもコーチの先生は若かったわ。
 すごく熱心に教えて下さって、他のコーチを紹介して下さったのよ?」


いろいろとツッコミどころが満載だった。
第2の人生とは、間違いなく老後の人生のことで、彼女のような若者向けではない。
講座のコーチも本当は楽しく教えたかったのだろうが、あまりにも我が従妹の筋がいいので、
ついつい本職プロコーチを紹介してしまったのだろう。
だからこの子はこんなに強くなってしまったのだ。
アスランはその棒術入門のコーチをほんのり憎んだ。



「それはそうとアスラン、ちょっと付き合ってよ。
 いくわよ――――――!!」


容赦なく繰り出された棒の鋭すぎる突きに、アスランは見事に翻弄されていた。





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