お題・2
2.おねだり



 お願いがあるんだけど・・・。少女の控えめな声音に青年の肩がぴくりと上がった。
この日が来てしまった。不定期に、しかし必ず訪れる『おねだりの日』が。




「なんのお願い?」

「あのね、さっきお店覗いてたらすごくゼシカに合いそうな鞭が置いてあったの」



 攻撃力も半端じゃないんだよと熱弁する少女の唇に人差し指を当てる。
くるりと彼女に背中を向けて財布の中身を確認する。
多からず少なからず、無駄遣いはできない額が入っている。
装備品だから多少の無理はできるが、それも鞭の値段次第といったところか。



「それ、いくらだった?」

「えっとね、20万枚」

「・・・それ、カジノの景品?」



 詳しいねぇそうだよとのたまう彼女に引きつった笑みを見せる。
こればっかりは、いかに彼女がおねだりをしてお願いビームを放っても受け入れられない。
カジノで費やすお金は後にも先にも出てこないのだ。




「あのね、単純計算したら400万ゴールド稼がないといけないんだ」

「よ、400万・・・!?」




 あまりの高額に恐れをなしたのか、それから数ヶ月間ほどおねだりの日が来ることはなかった。





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