01.純情可憐な恋をした



 書簡を渡すために訪れた屋敷でたまたま見かけた犬にそっと近付き、おずおずと手を差し出す。
くぅんと鳴いて寄ってくる子犬が可愛らしくて、思わず抱き寄せ首の下を撫でる。
鳥を飼っているとばかり思っていたが、犬を飼っていたとは意外だ。
陸遜の屋敷にも凌統の屋敷にもいない小さな生き物に、は可愛いと呟いた。




「ふふ、あなたのお名前は何と言うのでしょうか。
 甘寧殿がまさかこのように可愛らしい生き物を飼っておられるとは、わたくしは初めて知りました」
「何あれ可愛い」
「わたくしは昔像というとても大きな獣を見たことがあるのですが、ふふ、あれは本当に大きゅうございました」
「姐御の方が可愛いっすよ!」
「ちょっと黙れ」
「わたくし、毎日あなたに逢いに来てしまいそうです。公績殿にまた叱られてしまいますね」
「いつでも来て下さい、姐御!」
「え?」





 子犬よりも子犬と戯れるが可愛らしく、我慢できずに声を張り上げる。
初めこそきょとんとしていた顔でこちらを見ていただが、やがて子犬と顔を見合わせ柔らかく頬を緩めこちらへ会釈する。
何をやっても絵になる人だな、ほんと凌統様のいい人は。
こんにちは、せっかくなのでお手合わせしていただいてもよろしいですか?
そう言ってすっと鍛練用の木の棒を指差したに、甘寧子飼いの忠犬のごとき子分たちははいと叫び立ち上がった。




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