04.蛙



 きゃーと上がる可憐な悲鳴と、うっしっしと楽しげな笑い声が聞こえる。
あの2人、今日も悪戯やったされたやってんのねえ。
ゴールネットに入れることができず豪炎寺たちFWが蹴り散らかしたボールを回収していたは、
隣で同じようにボールを拾っていたヒロトを顧みてほらあれと小暮を顎でしゃくった。




「小暮くんも好きよねえ、カエル」
「え、そっちなんだ」
「そっち以外にどっちがあるの?」
「うん、さんには難しい問題だったね」




 春奈を脅かし怒らせ追いかけられる小暮が、逃げ場所を見つけたとばかりにこちらに駆け寄ってくる。
ヒロトは避難シェルターではない。
は春奈を撒き運良く逃げおおせた小暮に向かって、もーうと窘めた。




「そうやっていっつもいっつもカエルばっかで芸がなぁい」
「え、そっちなんだ」
「すごいんだよ! ここ、日本よりもいっぱいカエルの種類があってさ、こないだ黄色いカエル見つけたんだ!」
「うっそマジで!?」
「ほんとだよー。珍しかったから音無に見せようと思ったら、また大声出されて逃げられちゃったけど」
「へえ、いつも悪戯してるわけじゃないんだ」
「酷いやヒロトさん、その言い方!」
「そうだそうだなんか1人だけ大人ぶってずるい基山くん!」
「えっ、俺なんだ!?」




 悪戯っ子認定はんたーい、子ども扱いはんたーい。
そう口を揃えぎゃんぎゃんと喚く小暮とに、ヒロトは本日最高に大人ぶった余裕の笑みを浮かべた。




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