お題・10
10.生きる理由なんかひとつあれば十分だ



 カレンダーの読み方がわからないのだろうか。
豪炎寺は冷房でガンガンに冷やした自宅のフローリングに寝そべり終わんなぁいと白旗を上げたきり動かない幼なじみを、
冷房の風よりも冷ややかな目で見下ろした。
宿題は溜め込まずに8月上旬、お盆までに終わらせておけと言いつけて今年で何年目だろうか。
遊ぶだけ遊んだ後はお決まりのように『修也くん、今日はお家で遊びたいなあー?』とは、
フクや父もその笑顔に騙され続けて何年になるのだ。
大して難しくもない宿題をあっさりと諦めおやつを漁るべく冷蔵庫の扉を開けたサンドレスを身に纏った
幼なじみの背中に向かって、豪炎寺はまだだと言い放った。



「アイスはこの問題が終わってからだ」

「えー」

「えーじゃない。やることやってから食べるって約束したから高いの買ったんだ。
 やることやれば食べれるんだからやれ」

「やれないもん、やろうとしたけどやれなかっただけだからやったうちに入るもん」

「屁理屈を言うな。できていないならやったもやろうとしたもやっていないのと同じだ」

「ご褒美先食べたら頑張るかもしれないじゃん! なんかはっと閃くかもしれないじゃん!」




 私はジリ貧よりも一瞬の閃きに賭ける!
ご褒美として買ってきたおやつに舌鼓を打った数時間後、宿題は真っ白のままだった。





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