お題・4
04.ひとりぼっち、二人



 真世界に存在しないものが、よく似た違う世界には当たり前にように存在するそれを人々は歴史のインタラプトと呼ぶ。
彼らの存在はその世界の流れを良くも悪くも大きく変え、時に真世界にまで影響を及ぼすようになる。
彼女はまったくの無の存在だったわけではない。
真世界では誰も名前も知らない、どこにでもありきたりの普通の女性が異なる世界では何者かの強烈な思念を受けた結果、
世界を歪める原因を作るまでの影響力を持つ存在へと変わったのだ。
自らが歪められた末に生まれた存在、人格だと彼女本人も周囲の人々も知らない。
なぜなら、彼らにとっては彼らの生きる世界こそが『真世界』だからだ。
世界はいつかはひとつに収束する。
様々なパラレルワールド怒った出来事もすべては一つに集められ、本来の世界に存在しないものは音もなく消えていく。
彼女は決して消えはしない。
ただ、とある世界では女神と称賛された天才戦術家が永遠に眠りに就く。
そして消え、眠りに就いたことすら本人は気付くことなくその役目をひっそりを終えるのだ。





「どうしたの? 言いたいことあるならぐずぐずしないでずばっと言っちゃいなさい、別の世界の松風くん?」





 いや、ひょっとしたら目の前で不敵に笑う彼女だけは、あるいは何かを見通しているのかもしれない。
松風はごくりと生唾を飲み込むと、あなたはと重々しく口を開いた。





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