お題・6
06.そのときはこの心臓を喰らって



 生まれて初めて、心の底から美しいと思った相手は男だった。
アレフガルドが闇に閉ざされ外界からの華やかな調べが聞こえなくなり、心も閉ざそうとしていた時に現れたのが彼だった。
星も月もない漆黒の闇だからこそひときわ目立つ白銀の髪をした、感情を宿さない人形のような瞳の少年。
形よく整った唇から発せられる声はよく通り、放たれる言葉に温もりはない。
彼に人間離れした美しさを感じたのはきっと、彼が人のように見えなかったからだろう。
そして、一足早く心を闇に染められようとした少年に命を奪われそうになり、
しかしそれでもいいと思い笑ってしまったこちらもおそらくは当時から人ではなくなりつつあったのだろう。
違うけど似ている。
何ひとつとして同じではないけれども、一緒になりたいと思える唯一の相手が彼だった。
彼一人だけを闇へ向かわせることは今も昔もしたくない。
行く先がたとえ地獄であろうとも、そこが彼の目指す場所というのであれば喜んで供をしたい。
そう思わせるまでに彼は、こちらを狂気へと誘っていた。




「好きだよプローズ。
 君がこの世界を滅ぼすことになったって、僕は一生君を愛し続けるよ」




 世界が滅ぶ時に、プローズと一緒に死ねるのであればそれもいい。
ガライは小さく笑みを浮かべると、ルビスの前で立ち尽くしているプローズを見下ろした。





元に戻る