04.お前がキスしてくれたら頑張れる気がする



 新しい職場は以前の書庫と同じくらいにやることがなくて楽だが、精神的疲労がとてつもなく溜まる。
正直なところ手伝いを雇うだけ金が無駄だろうと思ってしまうくらいに彼はよくできた人間なので、
迂闊に手を出せば彼の仕事を増やしそうで結局何もしない。
仕事関連は何もしないしやれとも言われないが、仕事以外となると彼はとても喧しい。
は疲れたとのたまい肩揉みを当然のように要求してくる陸遜を、小声で年寄りと罵った。




「聞こえていますよ、殿」
「上司に暴言を吐いた罰として解雇して下さい」
「この職を解かれて行く当てでも?
 凌統殿と甘寧殿の口利きがなければろくに仕事を見つけることもできなかったあなたが?」
「誰のせいで見つからなかったと思ってるんだか・・・」
「私は嫌です、何があっても手放しません。だってあなたは私に仕えるのが相当の苦痛のようですし」
「陸遜殿は私をどうしたいの?」
「追い詰めるところまで追い詰め、弱りきったところで止めを刺す所存です」





 肩揉みはそろそろ慣れてきて抵抗がなくなってきたようですから、次は口移しでもねだりましょうか。
陸遜は背後で硬直するの唇に指を這わせると、うっそりと微笑んだ。




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