とりかえっこ




 達ドルマゲス討伐隊の女性陣の服装は対照的である。
ゼシカは肩や腕の比較的露出度の高い、色気オーラ大サービスの服。
は腕から膝までワンピース、そして足はブーツに覆われているため、
肌の見える部分は膝とブーツのほんの隙間ぐらいしかない。
どちらもそれぞれ彼女達の雰囲気によく似合っていて悪くはないのだが、それでは不満な人物がいた。
ククールではない。
意外にも、ゼシカ・アルバート、彼女だったのである。


















 「ねぇ、、服、交換しない?」





「うん・・・、って、えぇっ!?」












ある日の夕食前、突然宿の一室でゼシカはにそう切り出した。
いつもの何かたいしたことのない頼みだろうと思っていたは、
予想外の彼女の提案に大声を上げて驚いてしまう。
ゼシカは慌てて、それでもやはりどこか楽しそうに人差し指を自分の口に当てると言った。







「大丈夫よ。着痩せするタイプだし、
 それに何着たって絶対似合うからっ!」





どこから湧き出てくるのか分からない彼女のその自信には大いに圧倒された。
いや、まずはじめに問題はそこではない。





「でもなんで?
 ゼシカ今の服すっごく可愛いのに。
 それに私の服、ゼシカには小さすぎるし・・・。
 とにかくっ、ゼシカの服は絶対私には大きすぎるからっ。」







しかしがどんなに頑張っても相手がでない限り、口でゼシカに勝てるはずがない。
結局2人は服をお互いに交換する事になったのである。
















 「ゼシカ、、そろそろ夕食だって。
 早く食べようよ。」









部屋の外でが2人を呼ぶ声が聞こえた。
ゼシカは彼の声に軽く返事し、の方を向いて、開けるわよ、と一言言った。
は覚悟を決めたように重く頷いた。







「待たせたわね。 
 ほら、行くわよ。」
「ゼシカ・・・!?
 その服・・・、どうしたんだよっ!?
 はっ!?」







案の定は普段とは明らかに違うゼシカのいでたちに驚き素っ頓狂な声を上げた。
ゼシカが彼のその反応に満足したようで、けらけらと笑いながら部屋の奥の方へ目をやった。
つられるようにしても奥をのぞいてみる。
するとそこにはゼシカの服を着て真っ赤な顔をうつむけたの姿があった。





「可愛いでしょ、
 やっぱり何着たって似合うわね。」




「そうだね・・・。じゃなくてっ!!
 なんで!? そのそもなんで2人とも!!」
「いいじゃないたまにはこういうのも。
 ね、。」






そう言うとゼシカは1人で食堂へと向かって行くではないか。
部屋に取り残されたに気まずい空気が流れる。
はもう1度彼女を眺めてみた。
普段が絶対に見ることの出来ない真っ白な、日に焼けていない肌。
ゼシカはは何を着ても似合うと言ったがまさにその通りだ。
は彼が自分をじっと見つめているのを見て、またさらに顔を赤くして、







「そうだよねっ、私やっぱりゼシカの服は無理だよっ。
 だって私・・・。」
「ううん。すごくよく似合ってる。」







はそう言うと彼の言った言葉に慌てふためき、ますます顔を赤らめる彼女の手をとってゆっくりと立たせた。
そしてもう1度、今度は一言一言をかみ締めるように言う。






「すごく、よく似合ってるよ。
 他の男に見せるのがもったいないくらいに。」
「え・・・。」







はまだ赤さが残る顔を上げてを見上げた。
そして小さく、ありがとう、と呟いた。
はその言葉ににっこりと笑うと、部屋の外へと連れ出した。





「夕飯食べよう? おなか減ってるでしょ。
 ヤンガス僕達の分も食べてなきゃいいけど・・・。」
























 その日の夕食はたいそうにぎやかだった。
ククールはの容姿に手を叩かんばかりに喜び、部屋には雷撃と火柱が起こった。
そしてヤンガスはその小さな目をいっぱいに見開いて、しきりにゼシカとを交互に見比べていた。






「でもさ、ゼシカはともかく、どうしてはそんなに服がぴったりなんだ?
 確かに背の丈はどうしようもないけどさ。」



「知らなかったの? は着痩せするタイプなのよ。
 だから・・・。」




「へぇ~、そいつはすごい。
 なぁ、これからもしばらくその格好で・・・。」








ククールがそう言って露わになっているの肩に手を置こうとした瞬間、
の声が彼の行為を妨げた。




「何言ってんの? もう1回焦がされたいとか?」



の放った言葉がもちろんに聞こえていないというのはすでにお決まりである。
それからがゼシカの服を着ることは当然なくなったそうだ。






あとがき

うちのヒロインはゼシカほどではないですが、かなりプロポーションも顔もいいです。
いつの間にかが黒化してきたのはご愛嬌です。




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