別に食い意地が張っているわけではない。
食に飢えているわけでもない。
ただ人間の三大欲求には食欲というものがあり、これは人間の生理本能が正常に作動しただけなのだ。
は豪炎寺というよりも彼の膝の上に乗せられている弁当箱の中身を見つめ、思わず美味しそうと呟いた。
「毎日が遠足みたいなお弁当・・・」
「の弁当も美味しそうじゃないか。家庭の味みたいで」
「夕飯の残り詰めてるんだから家庭の味で当たり前。これ、豪炎寺が作ってるの?」
「ああ。どれもすぐに作れるものだから手の込んでいないおかずばかりだ」
「豪炎寺はすごいよ。私はお母さんに頼りっぱなしだから」
「は作らないのか?」
「全然しないってわけじゃないけど・・・」
だからといって、胸を張って料理できますと言えるほど嗜んでいるわけでもない。
間違っても、毎日手ずから弁当の具をこしらえている主夫豪炎寺に感心されるようなレベルのものではない、。
何と答えるべきか考えあぐねているの顔を豪炎寺は覗き込んだ。
「今度、一緒に作ってみるか?」
「私が? 豪炎寺と?」
「ああ。俺とのおかずがお揃いだったらみんな驚くと思うがな」
「確かに・・・。・・・しかも豪炎寺が作る料理なら外れはない・・・」
「俺がじゃなくて、俺と作ることを忘れないでくれ」
ややあって、よろしくお願いしますと頭を下げたに豪炎寺は柔かく微笑んだ。
嬢がお料理できるかできないかは、私のリサーチ不足である