宇宙人の舞台裏
あははけらけら何それ超受けるんだけどほんと笑っちゃうあっははげほげほっ。
笑いすぎて呼吸困難に陥った幼なじみを優しく介抱してやれば、なぁにヒロトその頭ほんっとばっかじゃないのああおかしいげほげほとまたもや咳き込まれる。
彼女はいつから笑い上戸になったのだろう。
南雲とヒロトはけたけたと笑い転げる幼なじみを前に顔を見合わせた。
「なあ、俺らのどこに笑ってんだ?」
「全部」
「全部ってそりゃないだろ。なあグラン、ガゼル」
「それ、それ! なかにバーン!って。晴矢どっか爆発でもするわけ、ビックバーン!みたいな」
「おまっ・・・、いい加減宇宙人ネーム覚えてそれで呼んでやれって父さんに言われたのもう忘れたのか!? 俺はバーンでヒロトがグラン、風介がガゼルって昨日も言ったろ!?」
「だだだだってだって、なぁんでヒロトがグラン、風介がガゼルって何それほんとパパのネーミングセンスやっばいよ。宇宙人とかほんと・・・っ、くっ、あっ、ふ・・・っ」
よほど宇宙人設定がツボにはまったのか、が再び笑いのスパイラルに突入する。
いるだけで人を楽しい気分にさせる俺たちってすごいよねとを見下ろしながら引きつり笑いで言うヒロトに、風介が小さく頷く、
訳ありの子供たちが集うおひさま園では異色なまでに明るかったは、周囲の面々が宇宙人になり始めてから更によく笑うようになった。
宇宙人ネームがおかしいと言っては笑い、変と言っては笑い、おかげで自分たちがサッカーで世界を支配する戦士なのか笑いで旋風を巻き起こす新規参入お笑い団なのかわからなくなったほどだ。
サッカーボールを蹴ろうとしなかったは宇宙人ネームももらわず今でもただのだが、正直、この時ほどがこちら側でなくて良かったと思った時はなかった。
自分たちがやっている行為を見れば、いかに笑い上戸のであっても落ち込む。
二度と笑顔を見せなくなるかもしれない。
に落ち込んだ顔は似合わない。
だから、すべてが終わるまでは負けられなかった。
たとえどんな手を使ってでも父のために働き、そして再び元の楽しい生活に戻るのだ。
南雲はようやく笑いが落ち着いたの髪をわしづかむと、ぐしゃぐしゃと乱し始めた。
「おらっ、も俺らみてぇな頭にしてやる!」
「きゃー、何そのてかてかしたやつワックスとかやめて、きゃー!」
「グラン盛りとガゼル流し、どっちがいい?」
「バーン!つぼみはないの?」
「バーン!じゃねぇしつぼみでもねぇよ! あ、レーゼソフトでもいいな」
「えー、玲名ちゃんビューティーがいいー」
「あれはちょっと染めただけだろ。よし決めた、今日からはレーゼソフト!」
「ぎゃあああいやあぁぁ治くんに苛められるうう!」
「ちょっとちゃん、冗談でもそういうこと言うのやめて! あとなに、レーゼソフトは罰ゲーム扱いなの!?」
リュージが抹茶ならはチョコだな!
いやあぁぁ晴矢に食べられるううう!
ぎゃいぎゃいわあわあと騒ぐエイリア学園の生徒たちの耳に、こんにちは雷門中ですサッカーしに来ましたと伝えるインターホンの音が飛び込んできた。
「晴矢、前言撤回するわ。人間にも変な髪形の人いっぱいいるじゃん何あのツンツン頭!」「宇宙人、そこの美少女燃やしていいか」