真っ赤に流れる僕の血潮 feat.地球




 見たくて見ているのではない。
見たくもないが、見てほしいとでも言わんばかりにちらちらと見せてくるのだから仕方なく見てやっているのだ。
その気になれば触れるどころか噛みつけるくらいにいつも近くにある柔らかそうな肌が、先程から公衆の面前に晒されて続けている。
確かに今日は暑い。
暑いが、だからといってどこでもかしこでも薄着にしていいわけではない。
なんだそのスカート丈は、どうしたキャミソールは。
豪炎寺はきゃあ風丸くんだあと歓声を上げ、背伸びして手を振っている暢気なの顔ではなく腹部を見つめ舌打ちした。
風丸だから舌打ちで留めているが、あれが半田や鬼道や円堂などとにかく風丸以外であれば平手打ちをしていた。
俺の幼なじみはいつからふしだらな女になったんだ。
豪炎寺は背伸びだけでは飽き足らず、ぴょこぴょことジャンプまで始めたを見つめ眉間に深く皺を刻んだ。
今見えたのは何だ。
あいつ、どこまで薄着でいるんだ。
豪炎寺は飛び跳ねているに大股で歩み寄ると、ひらひらと舞っている手をつかみ取った。





「あっ、ちょっと何すんの修也そういう焼き餅良くない!」
「黙って見ていればひらひらちらちらと何なんだ、下着はどうした!」
「なぁんで修也私の制服の下のこと知ってるの、まさか見た!?」
「見せてるのはだろう! 何だこの腰は!」
「うわちょ、触んないでっ、ひゃ!」
「触ってほしくないならちゃんと下を着ろ!」





 可愛いんだからいいじゃないかとすっとぼけた笑顔で窘める風丸の言葉を黙殺し、風丸との間に体を割り込ませる。
暑いから薄着になり、暑いからアイスを食べそして腹を壊すことは目に見えている。
豪炎寺はサッカー部のジャージーをの腰に宛がうと、ぎゅうときつく縛りつけた。
よし、これで腹とついでにスカート丈も隠せて一安心だ。
ジャージーを腰に巻いたから一歩離れ満足げに頷いた豪炎寺は、セクハラ変態という叫び声を聞いた直後地面に昏倒した。






「あれは熱中症じゃない、暴行事件だ」「いいや熱中症。熱中症」




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