その笑顔、陰謀につき




 TPOを考えないで行動する男は駄目男だと思う。
は何食わぬ顔で席に就いている半田の頭をノートですぱんと叩いた。
いってー何すんだよと声を上げる姿は、先程の半田と同一人物だとは思えない。
親友がどんな性癖を持っていようと、それがこちらに向かない限りは特に気にしない。
しないが、あれはやりすぎだと思う。
半田の分際で公開キスとは、10年早いと言ってやりたい。





「半田って意外とおませさん」
「あー、見てた?」
「そりゃもうばーっちり。人に見せつけるくらいならもちょっと上手にキスすりゃいいのに」
がそれ言うのか? に言われてもなあ」
「む」




 は椅子ごと半田の席に近付けると、ぐっと顔を半田へと寄せた。
反射的に身を引こうとする腕をつかみ、にっこり笑ってみせる。
何すんだよと声を荒げる半田に構うことなく、は半田に囁きかけた。




「そーんなに言うなら私とも試してみる?」
「浮気唆してんのか? 悪い女だなお前、俺をそんなに豪炎寺に殺させたいのか」
「まさか。可愛い女の子とこうやってると、あちらさんもやばいって思うでしょ。彼女さんは半田に一途になるだろうし、そしたら半田は人前で公開キスする必要もなくなる。ね?」
「そんなに見たくなかったんなら目閉じてりゃ良かったのに」
「見えるとこでやる方が悪い」





 見苦しいもんこれ以上見せたらぶつから。
次やる時は、もっと綺麗にやってやるよ。
額を寄せ合い語らう半田とを、1人の少女が目を大きく見開き見つめていた。






ヤンデレのお話をよくさせていただいています




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