4.エゴイスト
彼女が帰ってきたということは知っているけれど。
他の誰でもない僕自身が呼び戻したんだから、その事実に間違いなんてないけれど。
何ヶ月とか何年とかは彼女のためにも言わないけれど、
とにかく僕はあの子がいない間に随分と心の狭い男になってしまったらしい。
彼女と離れ離れになっていた時間を少しでも早く取り戻せるように、ずっと2人きりで一緒にいたい。
本当のことを言うと、彼女を外に出して僕以外の人と楽しそうにしているのなんて見たくない。
僕は、みんなの笑顔が見たいからとかいった大層な理由じゃなくて、僕だけのために彼女を必要としたんだ。
僕の前で笑っていてくれたらそれでいい。
他の人に笑顔を向けないで。
その表情は僕だけのものにして。
そうでもしてもらわないと、僕は彼女を僕だけの空間に閉じ込めてしまいそうになるんだ。
そうできたらどんなに素晴らしいことだろう。
彼女を愛することができるのは僕ただ1人。
あぁ、なんて甘美な世界。
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