10.四六時中は流石にキツイ
厳しい。すごく厳しい。
ちょっとでも気を抜けば、すぐに撃たれる気がする。
気じゃない、確実に撃たれるだろう。
私、なんでスイスに寄りかかられてるんだろう。
もしかしてスイスお疲れ・・・なわけないよね。
この神経のぴりぴり具合はまだ数十時間は保ちそうだもん。
「あ、の、スイス・・・・・・」
「何だ」
「いつまでこうしてればいいのかな・・・?」
「我輩がいいと言うまでだ」
「だから、その『いい』はいつ言って・・・」
動けば機嫌を損ね叱られそうだし、かといって彼と話して盛り上がるようなネタもない。
沈黙が重く苦しい。
せめてリヒテンシュタインは来ないだろうか。
彼女が来たら場はこれ以上ないほどに和むはずだ。
そしたら私もお役ごめんだ。
たぶんスイスもこんな事しなくなる。
「あー・・・」
「何だ」
「いや、何でもない・・・」
「ただいま戻りました」
控えめにドアが開けられて、可憐な声と共にリヒテンシュタインが現れる。
ああ、いつ見ても可愛いお嬢さんだな。
私もこんな可愛い妹が欲しい。
ついついお帰りなさいと言うと、リヒテンシュタインは口に手を当てて真っ赤に頬を染めたまま硬直してしまった。
あれ、私何か変なこと言ったかな。
心当たりがあるかどうか考えていると、リヒテンシュタインが口を開いた。
「し、失礼致しました・・・!
お兄様、いらしているなら先に教えて下さいませ・・・」
「すまないリヒテン。おい、もう良いのである。今日は泊まっていけ」
「いや、私は・・・」
「いいえ、ぜひ泊まっていって下さいませ」
「お言葉に甘えさせていただきます・・・」
翌日、私はまた何の前触れもなしにスイスの頭に肩を進呈していた。
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