2.喧嘩を売ったり、情報買ったり
情報1つにつき勝負1回ですと言われました。
は、家主の理解不能な宣戦布告を尚香に打ち明けていた。
勝負をしたいと思ったことは一度だってない。
彼の神経を逆撫でした覚えも、一度もなかった。
「やってあげればいいじゃない。鍛えてるんだし、もしかしたら勝てるかもよ?」
「ですが、教えていただく情報とやらがございません」
「凌統の好みとかを教えてくれるんじゃない?」
「別に教えていただかなくても・・・」
「あ、そうよね! は陸遜に訊かなくたってわかってるわよね!」
「いえ、そうではなくて・・・」
勘違いというのは恐ろしいもので、陸遜の屋敷で生活を始めてからというもの、ほとんど毎日戦えと迫られる。
誤解だと言っても相手にされず、遂に今日は交換条件ときた。
放っておいてくれとは言えない、弱い立場の自分が恨めしい。
「は、凌統のこともっと知りたいとか思わないの?」
「教えていただけることならば知りたいと思いますが、それはやはり凌統殿の口から聞きとうございます」
「でも、突然凌統の好きなもの用意して驚かせるっていうのも楽しそうじゃない?」
「それは素敵です。さすが尚香殿」
早速陸遜に尋ねてみよう。
そう思い立ち上がったが、すぐにこの策の欠点に気付き座り直す。
どうしたのと尋ねてくる尚香に、はいけませんと小さく呟いた。
「教えていただいたら戦わねばなりません。
・・・尚香殿は、わたくしと陸遜殿を戦わせようとしておいでですね?」
「あら、わかっちゃったのね。楽しそうじゃない、だって」
「尚香殿・・・・・・」
陸遜との駆け引きはまだまだ続く。
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