4.する事なす事、裏目なヤツ
どう思う?
本日何度目かもわからなくなったその問いかけに、リグは隠すことなく盛大なため息をつき、嫌な顔をした。
日頃あまり優しくしていない、その代償なのだろうか。
なぜ彼女に振られてその傷が癒えきっていない自分が、つい先日から(どころか実は自分が生まれるずっと前から)
付き合っている幸せいっぱいのカップルの悩みを聞かなければならないのか。
勝手にしておけと言い放つが言うことを聞かないとは、よほどアドバイスが欲しいのか自慢をしたいらしい。
「そういうのライムに訊けよ。お前、人選ミスしてんだよ」
「ライムだぞ? こんな事訊けるわけないって、呆れられるか苦笑されるって」
「お前は今、俺が呆れて苦笑を通り越して嫌な顔してんのがわかんないのか」
「リグのしかめっ面はいつものことだろ」
このアホ賢者に、事故と見せかけて剣を突き刺してもいいだろうか。
リグは本気で芽生えてきた殺意をそのまま育てることにした。
ライムだって許してくれるはずだ。
母だって、仕方ないけどバース君だもん、いいわとか言って大賛成するに決まっている。
「何年付き合ってんだよ。ネクロゴンドいた頃とこっちで旅初めてからで、軽く3,4年は一緒にいたんだろ」
「いたけどまぁ、向こうの出来事はやっぱり俺にとっては黒歴史なわけだし・・・」
「黒だろうが白だろうが知るかそんなの。ああでも、不純異性交遊は禁止だからな。許したら俺も母さんに恨まれる」
「・・・リゼルさん、やっぱエルファ絡みになると怖いな、今も・・・」
「お前、ちっとも信用されてなかったしな」
普通の彼氏彼女じゃいけないのかな。
どうしたものかと悩み、また『どう思う?』と投げかけてきたバースに、リグは黙って毒針を突き刺した。
元に戻る