6.賭け事と色事の才能はナシ
また負けた。見事に負けた。
何だあいつ、全然期待通りの働きしないで。
誰が応援してやったと思ってるんだ。
「リグ、お前ほんと向いてないなー格闘場」
「・・・何だよ、その袋は」
「え、さっき勝った分かな。これで旨いのエルファに食べさせられる」
バースはにっこりと笑うと、手に持った袋を軽く揺すった。
じゃらじゃらと鳴る音が憎たらしくてたまらない。
同じ金額を賭けてなぜそうなる。
納得がいかなかった。
「すごろくも駄目だし賭け事も駄目だし、なんかリグってほんと生粋の勇者なのな」
「褒めてんのか貶してんのかわかんないんだけど」
「どっちでもないよ。まあ手段は何であれ、稼がなきゃまたお化けキノコ料理だし?
それを避けるためなら俺は何だってする」
あれは悪夢だった。
食べた翌日、本当に行き倒れるかと思うくらいの地獄を見た。
殺菌など全くできていなかったのだ。
むしろ、毒が強くなった気さえした。
「何だってやるって・・・。まさか、妙なこと仕組んだんじゃないだろうな」
「滅多な事言うなよ。さっきのもその前のも全部俺の勘。
リグが勝てないのは、リグにその才能がないからなだけ」
「よし、よくわかったバース。お前やっぱいっぺん場の空気読めるようになってこい」
「リグこそ、いい加減毒針に頼るの止めようなー」
リグの攻撃をすんでのところで避けると、バースは戦利品を手に食材市場へと飛び出した。
元に戻る