4.仮面
ちーん、と軽快な音が錬金アイテムの完成を告げる。
旅の途中で仕入れた錬金レシピを、見事に達成したのだ。
「あ、できたの?」
満足げに釜を開ける青年の隣に少女が近づいてきた。
この釜には割と武器を奪われているが、今回のターゲットは違った。
何を放り込んだのかも知らないので、出来上がった作品を見るのが楽しみだ。
「うーん・・・、これはククールにあげよう。」
取り出したぺらっぺらの銀色の物体を見つめ、錬金愛好家はぽつりと呟いた。
ちょっとこれは僕にはつけられないや。
こんないかにもって感じのやつ、ククールにしか似合わないし。
第一、こんなのつけたら、確実に変態視される。
「・・・うっわぁ。これ、ククールのだよね?
ククールのだって、言ってくれるよね。」
「もちろん間違いなく、天地がひっくり返ってもククールのだよ。」
「・・・今度から、ククールこれつけて戦うんだ・・・。
なんか・・・、ちょっと引くね。」
「・・・だいぶね。」
果たして本人はすんなりと受け取ってくれるのか。
今度は手渡し方を考え出す新米カップルだった。
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