6.過ぎていく時
イザークはアカデミーの卒業アルバムを見ていた。
おかっぱ、変わっていない。
ヴェサリウス時代に撮った写真を見てみる。
おかっぱ、やはり変化はない。
彼の2人隣には、にっこりと笑っている美少女がいる。
一見したらとてもガンダムを操るパイロットに思えないが、正真正銘の凄腕のパイロットである。
この頃はまだ、縁談勝手に破談中だったはずだ。
イザークは、次にヴォルテール時代の写真を眺めた。
おかっぱ、ただし若干長くなっている。
隣にはきれいに微笑んでいる美女がいる。
もう片方の隣にはディアッカがいるが、彼に興味はないので放置しておく。
これの2年前の写真と比べても、格段に美しくなっていた。
当時は毎日見ていたから気付かなかったが、その違いは歴然としている。
「何見てんの? ちょっ、やだ、昔の写真?」
ひょっこり現れた妻が、写真を見て苦笑した。
イザークはヴォルテール時代の写真と妻とを交互に眺めた。
こうして見ると、やはり美しくなっている。
「どんどんきれいになっていくんだな、お前は。」
「何よいきなり、そんな口説き文句。」
「ヴェサリウスの頃はまだ子どもだったのにな。」
まだまだきれいになるか、とからかうイザークに悪戯っぽく笑いかける。
きれいになった自覚はないが、そうなったのはイザークのせいでもあるはずだ。
「イザークに逢ってから、私きれいになったと思わない?」
「なるほど、そういうことか。」
恋をすれば美しくなるというのは、あながち間違いではなさそうだ。
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