8.素顔
おずおずと差し出された仮面に、ククールの笑みが固まった。
これの守備力が高いことは知っている。
物理攻撃への回避率が上がることだって、熱弁されたのでよく理解できた。
しかし、これはどうしたもんだろうか。
新手の嫌がらせか何かだろうか。
「・・・あのさ、これ着けて舞踏会にでも出ろって話?」
「トロデーン復興したら、仮面舞踏会ぐらい開いていいからさ。
ここは黙って着けてよ、せっかく時間かけて作ったんだし。」
「お前、俺を変質者にする気か?」
「そ、そんなことないよ! ・・・ククールにしか似合わないと思うな、それ。
やっぱり男の色気? そういうのがないと無理だもん。」
精一杯褒めてみる。
もうこの際、思っていることいないこと、とにかく褒めちぎっておだてるしかない。
錬金カップルが考え出したファントムマスクの行方の結論は、そこに行き着いたのだった。
なんとも安易かつ、効き目が期待できそうな策だ。
「男の色気ねぇ・・・。
・・・ま、俺のこの美形が傷つくのも世界の損失だし・・・。」
「そうだよ!
僕の顔に引っかき傷ができて泣く女の子は1人しかいないけど、ククールのだったら世界中の女の子が悲しむよ。
だから守備力上げなきゃ!」
数日後、ククールの顔は見事に仮面に覆われていた。
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