7.背中の羽を捜した夜
背中に腕を回し、柔らかな身体を今日の抱き枕にすべく引き寄せる。
熱いよと腕の中で声を上げる彼女に熱々だねと返し、壊さない程度の力を込めて抱き締めた。
「そういえばさ、一応翼がある種族の生まれなんだっけ?」
「うん。人間とのダブルなんだけど、純粋にそういう人たちは天使みたいに羽が生えてるんだよ」
もしも彼女に翼があったなら、どのくらい美しいのだろう。
ぺたぺたと背中を触ってみるが、翼が生えていそうな場所は見当たらない。
もしかして血筋とか関係なしに、単に清らかでなくなったから翼も消えてしまったのだろうか。
そうだとしたら惜しいことをしてしまった。
一度くらい拝んでおくべきだった。
真っ白な翼を生やした美しい娘から羽をもぐなんて、なんと背徳感に溢れ、そそられるのだろうか。
「昔はあったとか?」
「今も昔も生えてないよー。竜になれないのと一緒だよ」
「見たかったなー、天使みたいで可愛かったろうなー」
「・・・今は可愛くないの?」
そんなことあるはずがない。
翼があってもなくても、彼女は大切な女神様。
少し拗ねてしまったのか離れかけた身体を再び引き寄せると、翼のない天使に羽のように軽やかな指遣いで悪戯を施した。
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