6.友達同士じゃしないコト



 の第一印象は、豪炎寺にはちょっともったいないくらいに可愛い彼女だった。
それは誤解でそれはもう猛烈に否定されたんだけど、否定された上で見てもあの2人、
付き合ってるようにしか見えないんだよなあ。
恋人っていうか、もはや夫婦の領域?
一之瀬や土門、木野たちの幼なじみ関係とはちょっと違う、仲良くはないけど信頼係数はものすごく高いベテランって感じだ。
たぶん豪炎寺はの存在を当たり前だって思ってるから、これからもその『当たり前』が通用すると思ってる。
もちろんそんな保証はどこにもなくて、現に今も、鬼道がを豪炎寺の手から奪おうと一生懸命音無と頑張ってる。
でもあいつはきっと、鬼道の事なんてなんとも思ってないんだろうなあ。
は何があってもずっと俺といる。
そんな風に思ってるんだろうな。
あいつ、に関しては絶対的な自信持ってるみたいだから。





 それで、俺のポジションだ。
俺はのことをそうだな・・・。
例えて言うならマスコットガールとか、そんな感じで可愛がってる。
が俺のどのあたりを気に入ってくれたのかは今でもわからないけど、どうやら俺は相当懐かれているらしい。
風丸くんだと言って抱きついてくるは本当に可愛い。
ゴーグルからビームが出るんじゃないかってくらい痛い視線を感じることもあるけど、
そんなに羨ましいなら鬼道もをぎゅっとすればいいんだ。
息なんて止めるから・・・。
ほんと不器用な奴。
が言うには、俺はすごくぎゅっとするのが上手いらしい。
頭を撫でるのも上手いらしい。
以外にやったことなんてないんだけど、そう言われるとすごく嬉しい。
嬉しいからまたぎゅっとして、それで今度は炎のストライカーからも燃えるような熱い攻撃的な視線を受けるんだけど。
まったく、これだからシュート技を持つ選手は・・・。




「あっ、風丸くんだ! おーい風丸くーん!」

! 今日もは元気いっぱいで可愛いなー」

「わ、相変わらず風丸くんお口が上手! ぎゅってしちゃお!」

「よしよし、ぎゅうー」




 俺、いつまでこうやってをぎゅってしてられるのかな。
に彼氏ができるまでかな。



「風丸、それは俺の気持ちを知っている上で、俺への挑戦状だと受け取っていいのか?」

「俺は中立。なあ

「ねー?」




 今日も鬼道の視線が痛い。
俺は鬼道の視線をいつものように受け流すと、をぎゅうっと抱き締めた。




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