01.帰ってくる、って、言ったのに……
何が新年の宴だ、祝いだ、無礼講だ。
はサザンビーク城で盛大に催されているニューイヤーパーティー会場の隅で、
全身から悪い意味でのマイナスイオンを発し続けていた。
いつものようにちょっと王と世間話をして王子を痛めつけてストレス発散してすぐに帰還する予定だったのに、
ずるずると滞在を延期させられて今日で10日も経ってしまった。
日帰り出張もやぶさかでないと思っていたのにまさかの10日。
延滞料金をがっぽりと徴収したいくらいである。
「には遅くても2,3日で帰るって言ったのに僕、このままじゃ浮気してるって思われるかも・・・!」
浮気を疑われるのはとても悲しい。
一度生まれた疑念の芽はとても根が深く、除去したと思っていてもしぶとく生き続ける厄介な存在だ。
聡明なに限ってまさかそんな悪魔めいた邪念に囚われることはないだろうが、
彼女はあれで怒ると結構怖いからわからない。
不安になるようなことをした罰ですとか言って、2週間お触り禁止令など発令するかもしれない。
大いにありえる。
はそういう恥ずかしがり屋さんだから。
「・・・いっそサザンビーク吹き飛ばして・・・」
「お前はアスカンタを征服するのが先なのではなかったか?」
「マルチェロさん、サザンビークも結構いいとこなんですよ」
「そうだとしても今は抑えろ。サザンビークの滅亡はも望んではいない」
「はーい・・・」
の名前を出せばすべてが丸く収まると思いやがって、このMハゲ鬼畜野郎が。
はマルチェロが離れたことを確認しぶっそりと呟くと、渋々手にかけていた槍を手放した。
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