01.ベタな出会いです
幼なじみとの出会いなど、語れるほどのものではない。
リグはエルファとバースからネクロゴンドでの2人の出会いとやらを延々と聞かされた挙句、
フィルとはどうやって知り合ったのという問いを受け口を噤んだ。
どうやってもこうやってもない、気が付けば近くにいたのがフィルだったというだけだ。
アリアハンは鎖国国家で国民はアリアハン城下町とレーベの間でしか交流できず、作ることができる友人にも限りがあった。
ライムとは彼女がアリアハンの学校へ通うことになったため知り合ったので、まだ話せるネタがある。
しかし、フィルとは本当に何もない。
近所の子供はフィルくらいしかおらず、選択の余地すら与えられなかったのだ。
「幼なじみなんて、エルファが思ってるほどロマンチックなものじゃないよ」
「リグとフィルは喧嘩しかしなかったからそうでしょうね」
「ライムとの出会いならいくらでも語れるんだけど。ライム、昔から美人でさー」
「その話やめにしましょうか、リグ」
アリアハンアカデミー始まって以来の美少女出現に、揉めたよなああの年の発表会は。
目を細め当時を懐かしむリグの肩を、ライムはぎりぎりと強くつかんだ。
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