06.尻尾の本音
わかりやすいと言われた。
欲望に忠実でいることは素直でいいが、わかりやすすぎて、下心が見えていて好ましいとは言えないと窘められた。
陸遜は、いけ好かない相手ではあるが恋愛においては3歩ほど先を歩いている居候の忠告を苦々しい思いで聞いていた。
「・・・では、私はいったいどうすればいいと?
私があの方を愛しているのは事実なのです。事実を伝えて初めて形を成すものでは?」
「・・・戦においても、敵を誘い込むために退くことがおありだと思います。
あの方に対しても同じようになさればいかがかと」
「私がたとえ策であっても身を引いている間に、他の男が奪ったらどうするのです」
「また奪えばよいではありませんか。・・・最近、陸遜殿を見ていると犬のように思えてきました・・・」
「私を愚弄するつもりですか。表へ出なさい、決闘です」
尻尾を逆立てたり振ったりとせわしないお方。
破滅的な恋愛下手としか言いようのない陸遜を、間借り人はため息をつき見やった。
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