4.眠らない夜
雨が降り続けていた。
昨日も今日も、きっと明日も降るのだろう。
そういう季節だから仕方がないと言われても、慣れないものは慣れないのだ。
「雨ばっかりで、外に出れないね。」
「なんだか身体がなまっちゃいそう。」
窓から薄暗い外を眺める。
家の中にじっとしていても暇なのだ。
旅人としての性だろうか、じっとしているのは苦痛だと、いつしか感じるようになっていた。
本来は静かに呪文の本を読むような子だったはずなんだけどな、とおかしくもなってしまう。
「何がおかしいの?」
「私、昔は室内が好きだったのに、変わったなあって。
みんなといるのが楽しいからだよね。」
「じゃあ雨の日は嫌いになった?」
「うーん・・・。
嫌いじゃないけど・・・。」
良かった、と青年はにっこり笑って言った。
そして、少女の身体をふわりと引き寄せた。
「僕は雨の日だったら君とずーっと明け方まで2人でいられるから、大好きだよ。」
君と一緒なら、どんな日だって大好きだよ。
そう囁く声は、まるで飴のように甘かった。
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