9.傷跡
テレビが2人の男女を映している。
『将来を誓い合った仲だったのに君は・・・!!』
『だ、駄目!!
・・・私は彼と結婚したの。
あなたとはもう逢えな・・・!!』
昼間に放送されているドラマのお決まりの、ドロドロとした浮気シーンだった。
くだらないと思いつつ、テレビの電源を消さずに流しっぱなしにしているのは、単に先が気になるからだろうか。
それとも、他人事とは思えないからだろうか。
というよりもこの2人、確か2日前の放送でも人目(夫)を忍んで逢瀬を重ねていたはずだ。
ちゃっかりチェックしている辺り、そろそろ主婦化してきたのかもしれない。
結婚はおろか、同棲すら始めたばかりだというのに。
「こんな関係やだな・・・。
シンに申し訳ないや・・・。」
自分の場合、敵役はやはりあの青年だろうか。
彼の妖艶で危険極まりない笑みを思い出したとたん、ぞぞぞ、と悪寒が走った。
「は、早くシン帰ってこないかなー。」
それは、アスカ家に大事件が起こる、ほんの少し前のことだった。
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