1.・・・夢オチ?
待って、遠くに行かないで。せっかく昔の私を見つけられたの。
そのままずっと、私に『私』が見てきたものを見させて。
次にまたいつあなたに出会えるのかわからないでしょう?
あと少しであなたに追いつける気がする。
だからその場で私が来るのを待っていて。
失った記憶を取り戻す事はとても難しいってわかってる。
でも知りたいの。『私』がどんな風に笑っていたか、『私』がどんな事を考えていたか、
『私』がどんな人を好きだったのか。
私は『私』の事がすごく知りたいの。
思い出した結果が良くても悪くても、自分の記憶にヴェールはかけたくないから。
「待って・・・!!」
「エルファ!?」
木漏れ日が木に寄りかかって座り込んでいるエルファの顔に暖かく差し込む。
片手が暖かい。彼女を見つめてくるバースの瞳は心配そうな色を宿している。
「うなされてたけど、悪い夢でも見たのか?」
「ううん・・・。昔って、遠すぎるよね。」
バースは自分が掴んでいるエルファの細くて柔らかい手を包み込んだ。
「なんでも1人で背負い込むなよ。みんな力になるから。」
指先から伝わる温もりは、やがてエルファの心をもほっと暖かくさせてくれた。
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