10.愛と勇気だけが友達。
「昔読んだ話にね、勇者ってあまり多くを語らなくて、喋らないんだけど、
町のみんなを守ってくれるって書いてあったの。
それってリグにすごく当てはまってると思わない?」
ある日ライムはリグに向かってそう言った。
確かにその話に出てくる勇者は、今のリグにかなり似ている。
そりゃ、リグは人見知りが激しくて、人と話してもつっけんどんだし無愛想だしで、交渉は主にエルファとバースに任せているし、
しかしそれでも、剣の腕はライムの特訓の甲斐あってめきめきと上達している。
「ライム、その勇者に友達はいるって書いてある?」
「どうだったかな、勇気が俺の友達だとか何とか言ってた気がするけど。」
「じゃあその勇者よりも俺の方がいいよ。
俺にはライムやバース、エルファみたいな友達いるし。
1人で戦うのはいくらなんでも辛いしな。」
「ほんとにリグってさ、普段滅多に物言わない癖して、たまに格好いい事言うわよね。」
それも勇者らしくなる事のステップなのかもしれない。
元に戻る