お題・2
6.少女趣味



ドアが控えめにノックされる。ブザーがあるのにノックをするのはこの艦には1人しかいない。
シンの意中の相手、ミネルバ新人、謎の経歴を持つ超絶人気のあの子だ。




「シン、何してるの?」

「わ、今見たらだめ・・・!!」


興味深そうにパソコンの画面を覗き込んでくる彼女の目から避けるように、シンは身体で画面を覆った。
しかし元々動体視力の優れた彼女の眼にかかれば、シンのそんな行動も意味を成さない。




「ねぇ、この子の名前私と同じ。何か言ってるよ。
 『シンってこんな服が好きだったんだー。どう、似合う?』」



ほとんど棒読みで台詞を朗読する。
それを聞いているシンは穴があったら入りたい心境だ。



「あのさ、これはその・・・!!」

「あ、お返事に3種類ある。シンどれがいい?」


「えーっとじゃあこの、『何着てもすごく似合ってるよ。』で。」




いつの間にか彼女のペースに乗ってしまっていたシン。
一方彼女は画面の中でにこやかに微笑む同じ名前をした少女をじっと観察している。



「この服、シンが選んだの?」


「そうだった気がする・・・けど・・・。」


「可愛いけど・・・。ちょっと趣味が子どもっぽいよね。
 こういうの着てる子好きな人って、一時期要注意人物だったみたいだよ。
 ロリコンって奴だったっけ・・・。」



どんがらがっしゃんとシンに稲妻が直撃した。
素で言っているのだから尚更恐ろしい。




「ああそうだった。ヴィーノからの伝言言うね。
 右クリックしたまま登録した子の名前をキーボード入力したら、更なる世界が開くって。
 私には何の事かわかんないけど、シンは知ってるんでしょ?」



そう言い残し去って行く彼女を見送ると、シンはベッドに突っ伏した。
更なる世界とは、もちろん健全な青少年なら誰もが1度は想像してしまう、あっち側の世界のことである。




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