世界美味いもの行脚の旅
茶の間でちゃぶ台に手をついてだらりとお昼のワイドショーを見る。
手を伸ばせば簡単に届く位置にある煎餅を貪りチャンネルを変える。
あーそろそろドラマの再放送始まるわと思ってお目当てのチャンネルに合わせようとした瞬間、
バチリと無慈悲な音がして画面が真っ黒になった。
「へ?」
「『ヘ?』じゃありません。そうやって日がな一日だらけて・・・」
「いいじゃないですか別に必要最低限のことはやってんですから」
「そういう問題ではありません」
母親のような言葉を投げつけてくる人物を見上げる。
うるさいうるさいと感じてはいるが、この人に逆らうなんてできっこない。
だってこの人、ほんとは国だもん。
「それほど暇を持て余しているようならお仕事あげましょうか?」
「できれば食事の心配しなくていい仕事がいいなー」
「良かった、あなたにぴったりのお仕事です」
「ほんとですかやっぱ日本さんのコネは偉大ですね!」
「私もあなたと離れることができて光栄に思います。明日、イタリアに行ってきて下さい」
「い?」
世界中巡って美味しいものだけここに送ってきて下さいねと告げられた直後、
私はこの人に騙されたと初めて知ったのだった。
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