世界美味いもの行脚の旅 3
ぼふっとそこそこの威力で何かにぶつかった。
だ、大丈夫と慌てている声を聞き顔を上げる。
平和そうな緩んだ顔にくるんとした髪の毛。
ぶつかってしまった相手はお迎えに来たイタリアだった。
「な、何かあったのー!? 俺びっくりしちゃった!」
「いや、何もないけど強いて言えばにほ「ようこそイタリア君。遠いところわざわざありがとうございます」
日本さんは私が何か言い出そうとする前に旅行カバンを外に出した。
本当に早くいなくなってほしいらしい。
八つ橋にくるむのをやめてまで露骨に表現されるとさすがに傷つく。
くそ、騙され追い出され私の人権(でいいのかな?)どこ行った。
確かに日本さんがいないと日本はないんだけど、私だって日本を立ち行かせるために頑張ってるんだから。
江戸時代とかの恐怖の飢饉状態にだって、その気になればできるんだからね。
「美味しいものならイタリアたっくさんあるよー。いっぱい紹介するね、ちゃん!」
「うん、エスコートよろしくねイタリア」
「わぁ、俺張り切っちゃうよ!」
イタリアって、どのタイミングになったらやる気出すのかなってずーっと思ってた。
なるほど、実際年齢は関係なく外見年齢で若い女の子に頼られると頑張るのか。
さすがはイタリア、そういえば初めて行った時も年下扱いされてナンパされた気がする。
イタリアとは昔、といっても割と最近の昔から仲良しで、よくパスタを食べさせてもらったりしている。
向こうにだって日本さんに連れられてよく行ってたし、美味しいもの攻略で言えば易しいと思う。
ただ、こんなイタリアも例の同人ゲーム(おそらくは18禁)の餌食になるのかと思うと申し訳ない。
イタリアには悪いが、日本さんの野望を砕くためにもとっととお暇しよう。
そもそも何歳の娘をモデルにしてるつもりなんだろう日本さんは。
私、外見ほど若くはないし、そのあたりはもちろん日本さんも忘れてないはずなんだけど。
「、1日1回必ず進度報告メールを送るんですよ。それからイタリア君ともフラグを立ててくるように」
「私とイタリアの友情を壊すような発言やめてください」
こうして、私の不安な世界旅行が幕を開けたのだった。
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