年も暮れにけり



 「今年も1年終わりますねー」

「そうですね」



 年末恒例の大掃除も終わりほっとしている今日この頃。
コタツに足突っ込んで特番だらけのテレビを観て、隣でみかんを剥いてる日本さんに話しかける。
日本さん、冬コミとかが無事に終わってほっとしてるみたい。
やっぱり1年の終わりはこうあらねばなりませんとか、ほんとにあの時の日本さんは日本さんじゃなかったもん。



「あーあ、私来年はお嫁入り先見つかるかなー」

「まだ言ってたんですか、そんな世迷い事」

「煩いです日本さん。いいじゃないですか、食い扶持が1人分減ると思えば」




 初めにお嫁入りしたらと話を降ってきたのは日本さんの方。
若くもないんだから、まだ見れるうちに嫁ぎ先探しとけだなんてほんと嫌になっちゃう。



「そもそも見つけたんですか、良さげな国」

「あ、ありますよ!」

「条件は何でしたっけ、食料自給率が高くて、温暖な気候ですか」



 日本さんは何か考えてるみたい。
どこかいい国紹介してくれるのかな?



「無理ですね、どこも「日本日本! 俺ちゃんのお嫁入り、ぴったりなとこ知ってるよ!!」



 どうしてここにイタリアが、とかそういった野暮な質問をするのはこの際やめとく。
彼の後ろにはドイツもいるし、きっと新年は友人の家で的なノリで来たんだろう。
来るなら前もって連絡しろ、食べ物の用意が間に合わないだろうかなんて、言っちゃいけない思っちゃいけない。




「ほう、それはどこでしょうイタリア君。今度お会いしてみなければなりませんね」

「うん! 結婚式は兄ちゃんとこの教会がいいと思うよ! フランス兄ちゃんち経由で近いし!」

「近い・・・? ・・・まさか」




 イタリアから『ピッタリな結婚相手』を告げられた私と日本さんは固まった。




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