01.アイラブユー
人には見えないものが見えてしまうのは、それに対する思いが強かったり、あるいは特別な力を持っているからという。
幽霊は常人には見ることができない存在だ。
幽霊船などはともかく、そこらじゅうに浮いている力の弱い幽霊などは見えたことがない。
つまり、見えてしまっているリグは思いが強いか、もしくは霊感体質ということになる。
ここまでの調査を報告し、バースはリグをびしりと指差した。
「リグ、実はお前幽霊大好きだろ」
「寝言は寝て言おうかバース。誰が好き好んであいつらと仲良くなると? え?」
「あいつらとか言ってるあたり仲良さそうに聞こえるよね、でも」
「エルファの意見にも一理あるわね。リグ、たまに世間話もしてるみたいだし」
「ほう、ということはつまりだ、別にリグが変なの見てもリグは嫌がってないってことか」
「当事者置いて話進めんのやめてくれるかな!」
ばぁんとテーブルを叩き議論を中断させると、ライムたちが訝しげな表情を浮かべ顔を見合わせる。
3人の考えがまったく理解できない。
過去散々幽霊だの亡霊だのに苦しめられてきた自分が、実は隠れ幽霊ファンだと?
ふざけた結論を出すのもいい加減にしてほしい。
「リグがあんまりニフラム使わないのって、幽霊とお友だちだからなの?」
「使うまでもなく勝手に空に行ってんだよ! ほんと何なんだライムとエルファまで、俺を苛めて楽しいか!?」
「「うん、楽しい」」
もう嫌だ、人間怖い。
リグは外へ飛び出すと、心配顔で慰めてくる通りすがりの旅人幽霊に愚痴を零し始めた。
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