09.愛してるなんて言えないけど
人間が羨ましいと、最近よく考える。
愛し愛される人間たちの関係性が羨ましくてたまらない。
ラーミアは空中から人間を見つめ、羨ましいとぽそんと呟いた。
『私も愛されたいです・・・』
「どうしたんだラーミア、急に」
『人間は愛し合うことができますが、私には愛し合う相手がいません。寂しいです』
「まあ、確かにラーミアくらいでかい鳥っていないし不死鳥仲間も見たことないしな」
「リグ、お前さあ、もう少し女心ってのわかってやれよ。
ごめんなラーミア、こいつこういう話に疎くてさ」
『いいえ、気にしないで下さいマイラヴェル』
「ラーミアはもう少し俺の呼び方を気にしてくれるかな」
ラーミアはほうとため息のような声を出すと、うっとりと人間を見つめた。
不死鳥は唯一無二の存在だ。
死してもまた生まれる存在に、子孫や伴侶など必要ない。
ルビスと共にいた頃も一羽だったが、今はルビスもいないので本当に一羽ぼっちだ。
愛を語らう相手がいないというのがこれほど寂しいことだとは思わなかった。
「ラーミアのこと、俺は好きだけど」
『え・・・?』
「お前も好きだろ、ラーミアのこと」
「そりゃもちろん。ルビス様のお供を嫌うわけないだろ」
「だからそう気に病むなよ。俺ら人間だしすぐ死ぬけどさ、ラーミアのこと愛してるよ」
『嬉しい・・・! 私、ルビス様が復活されたらリグが神になれるように頼んでみます!
そうしたらずっと一緒です!』
「いや、それはそれで困るんだけど」
神の愛は大きくて重すぎて受け止めきれない。
リグとバースは、人間の愛情許容量の限界を感じた。
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