7.「ちょっと強引過ぎた?」
「きゃぁぁぁぁっ!!」
一見のどかな雰囲気を醸し出している草原にの叫び声が響き渡った。
突如発せられた彼女の叫び声に驚き、慌てて彼女の方を振り向いたエイト達が見たものは。
それはがもっとも苦手と言っても過言ではない、リップス系の怪物が見事に彼女の顔を嘗め回さんとしていたのである。
目の前にリップスの分厚く、ヌルヌルとてかった唇が近づき、はそれだけでも失神してしまいそうだった。
もとい、失神してしまった。彼女が最後に感じたのはやはりヌルヌルの感触だったのだが。
どこか遠い所で仲間たちの声が聞こえた。空耳ではない。
目を開けた彼女の前には確かに心配そうな顔をしたエイト達の姿が眼に入ったのだから。
「みんな・・・?あ、リ、リップスは・・・?」
「もうやっつけたから。でも大丈夫?私が見たときには、ものすごく真っ蒼な顔してリップスに近寄られてたわよ。」
「そ、そんな・・・。」
今すぐにでも泣き出しそうな勢いの彼女にククールはやれやれとため息をつきながら不意に彼女の顔に自分の顔を近づけた。
「仕方ないな。リップスに先を越されたのは気に食わんが、俺がしっかり消毒してやろう。」
そう言うと、なんと彼はにキスしようとしたのだった。
これには仲間たちが黙っているはずが無い。
突然の緊急事態に再び目を回しているを、急ぎ色魔と化したククールから救助して、
エイトとゼシカはおのおのの持つ最高の特技をもってククールを瀕死の目にあわせた。
程なくして復活したが目にしたのは息も絶え絶えなククールの姿だった。
それでも彼はが近くにいるのを見ると、淡く微笑んで、
「ちょっと強引過ぎた?だから俺はこんな目に遭ったのか・・・。」
と言い残した。その後、ククールは逆にの手によって手厚く介護されたらしい。
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