8.「目、閉じて?」
目を切られてしまった。いや、正確に言えば、目の上の方をかすられてしまったのだ。
はっきり言って、かなり痛い。目を開けるのが辛いくらい。
ただ、僕が怪我をした所は、普通に目を開けていればあまり目立たないところだったので、
仲間達は気付いてくれなかった。
「あれ?エイト、もしかして目、怪我しちゃってるの?
どうしよう!!私全然今の今まで気付かなかった・・・!!」
はじめに気が付いてくれたのはだった。
彼女は傷ついた僕の目をじっと見つめたまま動かなかった。
「あの・・・、?」
何かをするともなくこんな至近距離で好きな女の子に見つめられてたら、
ドキドキしてしまう。
すると彼女はおもむろに、
「目、閉じて?エイトの傷、目を閉じてくれないと治せないの。
だから、ね?」
優しいの言葉。
彼女は僕を治療してくれようとしていたんだ。
僕は言われたとおりに目を閉じた。
目を閉じてからすぐに、僕の傷を負った所に暖かい何かが触れたような気がしたけど、
それが何だったのかは僕は知らずじまいだった。
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