03.召喚
子どもにできたのだから、大人にできないわけはあるまい。
子どもでもイケマジンを呼べるのだから、大人だってイケマジンを呼べるはずだ。
というわけでさっさと私にマジンの出し方教えて。
突然何の前触れもなく切り出された質問に、剣城はできませんと即答した。
「俺が出すのは化身でマジンじゃありません」
「ちょっとカラフルになったのを化身って呼んでるだけでしょー。
いいじゃん私も化身出していろいろお手伝いしてもらいたぁい」
「化身使って何するつもりですか、フィフスセクターを物理的に潰すんですか?」
「いや、荷物持ちとか車代わりとかそこらへん?」
「サッカーはどこに?」
「は? サッカー?」
サッカーやらない私がサッカーに化身使うわけないじゃん、なぁにその化身の無駄遣い。
無駄遣いしているのはあんたの方ですよ、この変人美人が。
剣城は大の大人のあまりにも支離滅裂な発言に盛大にため息を吐くと、あのですねと口を開いた。
「黒木さんから電動自転車もぎ取ったあなたに化身はいらないでしょう。
それに荷物持ちくらいならお、俺がやりますから」
「いや、成長中の京介くんに重いもん持たせらんないでしょ」
「トレーニングだと思えば平気です。というか、そんなことのために化身を欲しがらないで下さい」
「トレーニングっつったってねえ、京介くんどこぞのサッカーバカみたく体がっしりしてなさそうだし折れたら困るじゃん。
優一くんと同じ病室ってお見舞い行く私精神的に無理だわ」
「折れませんしその、ちゃんと肉もついてます。見ますか?」
「いやいい、男の裸は間に合ってますんで」
あーあ、どっかにいいマジン落ちてないかなあ。
そうぼやき総合通販サイトの検索欄に『マジン』と打ち込んだに、剣城は化身ですと主張した。
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