05.正しい魔方陣の描き方
あれって結局何の意味あったんだろうな。
教えてもらいはしたけど文字は読めないままだし戦闘でも使わないし、見かけはかっこいいかもしれないけど
実用的じゃあなかったよな。
リグは夕食後の手遊びに地面にぐるぐると描いていた魔方陣を指差すと、自称賢者バースに疑問をぶつけた。
「一刻を争う時に魔方陣いちいち書いてる暇ないし、なくても呪文唱えられるんだろ?」
「頭の中で無意識のうちに描いてんだよ」
「でもそれにしてはバースのマヒャドとかリグのルーラは発動が早いよ」
「エルファのホイミもな。それは慣れてるからで、もう魔方陣すらいらなくなってるってこと」
「じゃあ結局魔方陣って何なんだよ」
「呪文唱えてるっぽく見せる演出? まあ、結界とか大きな呪文とかは描くけど」
「いいわね、私も一度でいいからまともな魔方陣を描いてみたかったわ」
リグと一緒に同じ先生から習ったのだけれど、私はあれがすごく苦手だったの。
好き嫌いをあまり口にしないライムが眉根を寄せリグの隣に描いた魔方陣は、
陣とは呼べないほどにぐにゃぐにゃとした線だった。
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