06.君の声に揺らぐ
バースの声が子守歌のようだ。
ライムは今更ながら始めてみたバース先生の初級呪文講座を、うつらうつらと眠気と戦いながら受けていた。
バースいわく、自分にはまったく魔力がないわけではないらしい。
呪文ほど大きな魔力を使わずとも、切りつけた瞬間だけ武器にメラやヒャドなどの属性効果をつけることはできる。
バースの魅力的な理論に乗りいざ武器に魔力を纏わせる方法を学んでいたライムは、自身にまとわりついた眠気を払えずにいた。
「例えばフロストギズモにギラとかメラの火炎系の力を借りて切りかかれば威力は増大する。
剣に直接魔方陣を刻んでもいいけど、これはヤマトでも難しいだろうなあ・・・」
「どうして?」
「術を理解してる奴が入れないとただの文様で終わるんだよ。
でも俺はそういうのできないし・・・」
「お前は使えない賢者だもんな」
「賢者は刀鍛冶やらないからな、普通しないぞ!」
眠気を催す一因は、講義の最中に容赦なく入るリグの茶々のせいもあると思う。
リグのツッコミは入ると長い。
2人のやり取りと聞くのは楽しいが、毎日聞いていると飽きてきて結果眠くなる。
ふわあと大きな欠伸をしたライムは、隣で静かに本を読んでいたエルファにちょんと肩をつつかれた。
「リグたちにこそラリホーの剣使いたいね」
「そうね・・・。ちょっとうるさいもの2人とも」
これじゃゆっくりうたた寝できないわ。
そう嘯き机に突っ伏したライムに、エルファはくすくすと笑い声を上げた。
元に戻る