01.気まぐれの偶然
まあこんにちは夏侯覇殿と声をかけられ、つられたように慌ててこんにちはと返す。
いやいやいやいや、なんでこんなとこに公主がいるわけ。
ここは宮中でもなければ市街でもなくて、やばい人がうろうろしてる戦場なんだけど。
夏侯覇はゆったりと微笑みながら歩み寄ってきた主の娘にぎこちない笑みを返すと、何してんですかと問いかけた。
「賊が跋扈して困っていると聞き、わたくしでも倒せるのではないかと思いこうして参りました」
「賊が狙ってるのは公主みたいな若い娘さんって知ってて来た感じ・・・?」
「まあ、そうだとすれば尚更、こちらから出向かずとも相手が先に出てきてくれそうで手間が省けますね」
「・・・ちなみに、今日のこれは殿は?」
「もちろん何も。夏侯覇殿もくれぐれも他言なさいませんように」
知られてしまった以上は夏侯覇殿も共犯者ということになりましょう。
悪びれることなくしゃあしゃあと言ってのけ武器を構える変わり者公主に、夏侯覇は苦笑いを浮かべ御意と答えた。
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