1.気づいてた?
ザフトアカデミーの時代。アスラン・ザラを初めとする美少年5人は常に女子達の人気と話題を攫っていた。
彼らの歩く傍には、あまりに美しさに失神する女子が大勢いるという伝説が生まれるほどである。
「キャーキャーキャーキャーうるさい女どもだ!!」
「そう言ってるお前がうるさいって。ほら、それに俺ら選り取り見取りだし?」
きちんと切り揃えられた、目元の涼しい銀髪の少年が隣でヘラヘラしている茶色い肌の男に吐き捨てた。
さらにその隣のオレンジの髪をした少年が笑いつつ、茶色の言葉に頷いている。
「そういえばアスラン知ってます? 僕達の同期ですごく成績の良い女の子がいるそうですよ。しかも2人も。」
「へぇ・・・。体力的なハンデが大きいのに、よぽど努力家なんだろうな、その子達。」
「その上2人共美少女とかだったらぜひともお近づきになりたくね? なぁラスティ。」
アスランと優しげな瞳をした少年の会話に茶色が割り込んでくる。
彼の問いかけにラスティも笑顔で答える。
「配属先同じだといいけどねぇ。ザフトって軍内恋愛いいんだよね。」
いきなり、背後からイライラとした女性の声がした。
彼女の隣でなんとか宥めすかそうとしている、もう1人の声も聞こえる。
「急いでるんで退いて下さい。それに4人並んで歩くのは邪魔よ。」
あまりの剣幕に返す言葉もなく道を開ける4人。
その中央を急ぎ足で進んでいく、紺髪の少女の足取りは寸分の隙もない美しさだ。
「なんか・・・、あぁいう子もいるんだな・・・。」
「阿呆か。俺はあのくらいないと物足りん。それにあの女の言った事はもっともだ。」
そう言って感慨深げに少女の後姿を見送るイザークの目に、彼女はどう映ったのだろうか。
何にしても、これが2人の最初の出会いだったとは当人達は覚えていない。
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